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臼杵市 国宝臼杵石仏

大分見聞録 この記事は約 3 分で読めます。
古園石仏大日如来像に代表される国宝臼杵石仏(磨崖仏)は、大分市に隣接する豊富な観光資源に恵まれた城下町、臼杵市の深田の里に鎮座してます。
 石仏が彫られた正確な時期や、いきさつを記す資料はなにも残っていませんが、地元深田の里に伝わる「真名野長者伝説(炭焼き小五郎伝説)」によれば、長者が亡くなった娘の菩提を弔うために彫らせたともいわれ、平安時代後期から鎌倉時代のものではなかろうかと推定されています。
 臼杵石仏は、その規模と数、造形的な美しさ、技術の高さについても第一級の石仏群とされ、平成七年六月には磨崖仏では全国初、彫刻としても九州初の国宝に指定され増した。石仏の数については古園石仏、山王山石仏、ホキ石仏第一群、ホキ石仏第二群の四群で六十余体が存在し、その中の五十九体が国宝となりました。さらに、平成二十九年三月には古園石仏郡の手前右側の岩壁に刻まれた二体の「金剛力士立像」が追加指定され、合計六十一体が国宝となります。
 臼杵石仏は阿蘇山の大噴火によって形成された阿蘇溶結凝灰岩という柔らかい岸壁に彫刻されているため朽ちやすく、この貴重な文化財を後世に伝えるためには保存環境の整備が必要とされ、長年に渡っての努力が継続されています。
 特に古園石仏の大日如来の頭部は長い年月、胴体から離れたまま地面に安置されていましたが、(逆にこの状態が臼杵石仏の「顔」として定着し、親しまれてきたという歴史もあったのですが。)「落下した頭部」の時代に区切りをつけ、平成五年に元々の胴体に戻され、前述の七年には国宝の指定を受けることとなりました。
 数百年に渡って、参拝する人々の心に安らぎをあたえてきた如来様の豊かな表情の向こうに、信仰の歴史の厚みや、人々の祈り、想いを見るような気がします石仏公園内には四季折々にたくさん花が咲いていますが、とりわけ夏は蓮の花が見事な風情を醸し出します。毎年恒例行事となった「石仏の里蓮まつり」も今年で六回目を迎え、開催日程は七月八日(日)~二十九日(日)。早朝から蓮の花とイベントを楽しめます。
風雪に耐えながら、時空を越えて深田の里にひたむきな信仰のあかしを今もなお遺す国宝臼杵石仏。毎年夏に行われる石仏火まつりは、豊作祈願、石仏への感謝と、盆に帰ってきた先祖への送り火、そして虫追い行事として古くから深田地区に伝えられてきました。
 夜七時になると約千本の松明とかがり火に一斉に火が灯され、石仏周辺一帯に荘厳で幻想的な景色が広がります。深田の夏の風物詩として地元はもちろん、全国からたくさんの観光客で賑わいます。
写真キャプション
■石仏公園には7月から8月には大輪のハスの花が咲き、極楽浄土を思わせます。
■大日如来像を中心とする曼荼羅を構成し整然とした陣容をそなえる、古園石仏。臼杵石仏の中心的存在となっています。
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