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国東市 ケベス祭り

大分見聞録 この記事は約 3 分で読めます。

国選択無形民俗文化財

国東半島には修正鬼会をはじめ多くの火祭りがあり、毎年十月十四日に奇怪な仮面を着けて行われる、「ケベス祭り」と呼ばれる櫛来社(岩倉八幡社)の火祭りも、そのひとつに数えられています。

火の粉をまき散らす奇祭と言われるこの「ケベス祭り」の起源・由来はいっさい不明とされていますが、その火の粉を浴びると無病息災が叶うと伝えられています。

「ケベス祭り」は神の見守る中で古来の決まり事を厳守し、進行されるといわれ、まず神社の清掃から始まり当場組が神穂屋に使うカヤや、境内で燃やすシダを集めたり、しめ縄を準備します。それから十月七日までに当場元と大世話人を決め、これに続いて「釣りくじ」でオカヨ・トウジと各々のスケを決めます。

十月八日に当場元の軒先に神穂屋が作られ、翌日十月九日はオカヨを先頭に行列を組んで、神導様を神穂屋に祀る「宮下り」の日となります。オカヨは十四日まで毎朝海水に浸かって心身を清め、お供えをし、トウジは甘酒を仕込み、神穂屋に供え毎朝かき混ぜます。そして、この日から当場組全員が精進潔斎という、酒や肉食を慎み心身を清めるという、修行の生活にはいります。 また、他の地区で作られた飲食物を口にする事も、また、他の地区の人に飲食物を出すことが禁じられるといった、当場以外の人とは「火」を交えてはならないという厳格な制約もこれに加わります。

そしていよいよ祭り前日、十月十三日。当場の男衆全員が海で身を清め、当場元で供え物の鏡餅や御縄餅や御沓型餅をつきます。当場は白装束で餅が汚れぬよう「カミシバ」をくわえ、声が出せません。餅つきが終わると、ケベスの「釣りくじ」が行われ、ケベス役が決定されます。

十月十四日、祭り当日。午後からの「宮上せ」から始まります。オカヨを先頭にお供えの甘酒や餅を携え、神導様を櫛来社へ還幸する行列が当場元を出発します。 日がとっぷりと暮れると、境内に白装束で奇怪な仮面を着けたケベスが現れ、火がつけられ燃え盛るシダの山を中心に一廻りしたところで、火に向かって突進します。そこで火を守る当場と激しい攻防を繰り返し、最後には火に飛び込みます。

すると今度は、当場たちが火がついたシダの束を棒に突き刺し、御利益のあるその火の粉を参拝者たちに振り撒いて行きます。 境内が炎で赤々と染められ、歓声が響き渡り火祭りがクライマックスに達する頃、一方のケベスは境内の三ヶ所で棒(刺又)の先に突き刺したたわら包みを地面に三回叩きつけます。この時の音が大きいほど五穀豊穣になると伝えられているようです。

すべての火が鎮まった頃、神職の打つ太鼓の音を合図に祭りは終わります。この「ケベス祭り」は平成十二年十二月二十五日に国の選択無形民俗文化財に指定されています。

 

注釈 *1当場組:トウバグミ 地区で祭りに奉仕する人々。 *2神穂屋:カムホヤ カヤを組み合わせた小屋で当場元の軒先に作られ、神棚や供え物が据えられる。 *3当場元:トウバモト 神穂屋を建て、神導様を迎える。 *4大世話人:オオセワニン 当場組の統括 *5オカヨ: 神導様に仕え、供物を取り仕切る *6トウジ:神穂屋で甘酒をしこむ  *7スケ :補佐 写真キャプション ■仮面を着け、神職が背中に「勝」という字をなぞり、背中を一叩きするとケベス(神)が乗り移る。 ■ケベスと火を守る当場の攻防。

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